「わざわざ、すまない。こんなところに呼び出してしまって。神殿内だと危険かと思ったのでな」
「いえいえ、別にかまいませんよ。むしろ気を使っていただいたのは、こちらですし。無理を言うのもこちらですから」
「代わりに今度何か作ってやるから、それでチャラにして欲しいものだな」
「私としては、これを機にそなた達に政治の表舞台に立って貰いたいものだがな」
「残念ながら、私の手は血で汚れすぎています。昔色々と無茶をしすぎましたもので」
「私も悪名が轟き過ぎているのでな、今の街の『奇人さん』のままが一番だよ。何より政治は疲れる」
「そうか、残念だ。これだけのメンバーが揃う機会はそう無いと思うが」
「ええ、そうですね。貴兄の心中は察しますよ。でも、私は私の手の届く範囲の幸せを守るので精一杯ですので。申し訳ありませんね」
……
「遅くなっちゃったぁ。叔父様方ごめんなさ〜い。…ちゃん反省」
「主役の登場ですな。待っていたぞ」
「その分ちゃんと働くからぁ、許して。今日…ちゃん、デートの申し込みされてぇ、ウキウキなの。…ちゃん頑張っちゃうわよ」
「それは有り難いですね。今日お越し頂いたのは、実は…」
「どうせ彼奴らのことでしょ。判ってるわ。…も嫌い。…の狙っている人苛めるし。あんな奴らまとめてヤッちゃっても良いんだけど、あれでも国の大事な宝だからぁ、政治的に追い出して、二度と手出し出来ないようにしちゃえば良いんでしょ」
「判っているなら話が早いな。何か必要なものはあるかな」
「国王陛下のお墨付きは頂いた。もとはと言えば、私の権威を失墜させようと、裏で画策していたものが起こした騒乱。貴国の神官団に迷惑を掛けて誠に申し訳ない」
「別に良いわよぉ。大体国力もないのに対外的にアピールしようなんて、無理が過ぎるのよ。遠征費用を出して貰うほどのことじゃないのに」
「色々と尽力して下さった、ソナタに申し訳ないのでな。これでソナタの顔も立つじゃろう」
「そんなぁ、それなら、若い男の2、3人くれればそれで良いのにぃ」
「……」
「えっ〜。3人揃ってだんまりする事ないじゃない〜。うそよ、う・そ。…ちゃん、男ぐらい自分の力でゲットしてみせるわ」
「ははは、で、めぼしい人材はおりましたかな」
「もうバッチリ目を付けてるわ。でも、なんだかまだ問題を抱えているらしくて、…ちゃん、もう少しここに残ることにするわ」
「それは、頼もしい限りですな、今度その武器を預けてくれないかね、非常に興味があるんだが…」
(『第十二話・第十三話 間奏』より ◆ 2003年4月初出)