□ その時彼らは8 〜 親父共の輪舞 □

 

「わざわざ、すまない。こんなところに呼び出してしまって。神殿内だと危険かと思ったのでな」

「いえいえ、別にかまいませんよ。むしろ気を使っていただいたのは、こちらですし。無理を言うのもこちらですから」

「代わりに今度何か作ってやるから、それでチャラにして欲しいものだな」

「私としては、これを機にそなた達に政治の表舞台に立って貰いたいものだがな」

「残念ながら、私の手は血で汚れすぎています。昔色々と無茶をしすぎましたもので」

「私も悪名が轟き過ぎているのでな、今の街の『奇人さん』のままが一番だよ。何より政治は疲れる」

「そうか、残念だ。これだけのメンバーが揃う機会はそう無いと思うが」

「ええ、そうですね。貴兄の心中は察しますよ。でも、私は私の手の届く範囲の幸せを守るので精一杯ですので。申し訳ありませんね」

……

「遅くなっちゃったぁ。叔父様方ごめんなさ〜い。…ちゃん反省」

「主役の登場ですな。待っていたぞ」

「その分ちゃんと働くからぁ、許して。今日…ちゃん、デートの申し込みされてぇ、ウキウキなの。…ちゃん頑張っちゃうわよ」

「それは有り難いですね。今日お越し頂いたのは、実は…」

「どうせ彼奴らのことでしょ。判ってるわ。…も嫌い。…の狙っている人苛めるし。あんな奴らまとめてヤッちゃっても良いんだけど、あれでも国の大事な宝だからぁ、政治的に追い出して、二度と手出し出来ないようにしちゃえば良いんでしょ」

「判っているなら話が早いな。何か必要なものはあるかな」

「国王陛下のお墨付きは頂いた。もとはと言えば、私の権威を失墜させようと、裏で画策していたものが起こした騒乱。貴国の神官団に迷惑を掛けて誠に申し訳ない」

「別に良いわよぉ。大体国力もないのに対外的にアピールしようなんて、無理が過ぎるのよ。遠征費用を出して貰うほどのことじゃないのに」

「色々と尽力して下さった、ソナタに申し訳ないのでな。これでソナタの顔も立つじゃろう」

「そんなぁ、それなら、若い男の2、3人くれればそれで良いのにぃ」

「……」

「えっ〜。3人揃ってだんまりする事ないじゃない〜。うそよ、う・そ。…ちゃん、男ぐらい自分の力でゲットしてみせるわ」

「ははは、で、めぼしい人材はおりましたかな」

「もうバッチリ目を付けてるわ。でも、なんだかまだ問題を抱えているらしくて、…ちゃん、もう少しここに残ることにするわ」

「それは、頼もしい限りですな、今度その武器を預けてくれないかね、非常に興味があるんだが…」

 

 

(『第十二話・第十三話 間奏』より ◆ 2003年4月初出)

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