□ その時彼らは10 〜 とある宿屋にて 4 □

 

「そろそろ目障りだ。殺せ。直接手を下す良い機会がある。その時に」

「えっ…」

「殺せと言ったのだ。絡め手でも動ぜず、間接的に攻めても邪魔が入るとなれば、直接やるしかあるまい。もう、見過ごせるレベルではなくなってきた」

「しかし、アラファナ様は、『手を出すな』と仰っていましたが…」

「関係ない。脅威となりうる芽は事前に摘み取る。それとも何か、我々が直接手を下せとでも思っているのか」

「いいえ、判りました…」

 男が出ていった後に、中に残った男はさらに呟いた。

「さて、念のため、もう一つ罠を仕掛けておくか…」

 

 

(『第十四話 プロローグ』より ◆ 2003年5月初出)

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