「そろそろ目障りだ。殺せ。直接手を下す良い機会がある。その時に」
「えっ…」
「殺せと言ったのだ。絡め手でも動ぜず、間接的に攻めても邪魔が入るとなれば、直接やるしかあるまい。もう、見過ごせるレベルではなくなってきた」
「しかし、アラファナ様は、『手を出すな』と仰っていましたが…」
「関係ない。脅威となりうる芽は事前に摘み取る。それとも何か、我々が直接手を下せとでも思っているのか」
「いいえ、判りました…」
男が出ていった後に、中に残った男はさらに呟いた。「さて、念のため、もう一つ罠を仕掛けておくか…」
(『第十四話 プロローグ』より ◆ 2003年5月初出)