■段落とは何か? |
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段落とは、文章のまとまりです。 改行から次の改行までを、一段落と言います。 改行とは、そのまま「行を改める」ことです。改行して段落を分けることで、文章を読みやすくします。実際に、改行がない文章がどうであるか、読んで確かめてみましょう。
一応、練って作った文章なので、ものすごく読みにくいということはないと思います。ただ、読んでいる間、息継ぎができないように感じないでしょうか。これがもっと長い文章になると、読む側の負担がさらに大きくなります。
明らかに、例文2.の方が読みやすいはずです。この文章全体が、どういう構成になっているかも、読んでいてわかりやすいと思います。 このように、全く同じ文章でも、幾つかのまとまりに分けてある方が読みやすく、理解されやすいのです。論文のように、自分の主張でだれかを「説得」しなければならない性格のものにおいては、相手に「理解されやすい」ということは非常に大切なことです。 |
■論文における段落の意義 |
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論文における「段落」には、単なる「読みやすさ」以上の重要な役割があります。それは「構成」です。
段落は、文章のあるまとまりの単位です。文が集まって段落となり、段落が集まって節に、節が集まって章に、というように、文章全体を構成する単位であり、「まとまり」という意味では最も小さな、基本的な単位です。 先ほどの例文2.をもう一度見てもらいましょう。これは論文ではなくて根付に関する説明文ですが、段落ごとに話題がまとまっているはずです。全部で5段落あり、それぞれの話題は以下のようになっています。
段落が分かれていると読みやすいのは、話題ごとのまとまりが明確でわかりやすいからでもあるのです。逆に、話題ごとのまとまりを無視した段落分けは、文章の明確さや説得力を損ないます。例を見てみましょう
読んでみてどうでしたか? 例文2.の方がわかりやすくありませんでしたか? それは、例文3.の段落構成が、話題ごとにまとまっていないからです。読んでわからない文章ではありません。ですが、段落構成が悪くなってしまったため、何を言わんとしているのかが掴みにくくなっているのです。 このように、段落を分けること、そしてどこでどう分けるかということは、小論文の説得力に大きく影響します。 |
■段落のめやす |
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ここまで読んできて、「そんな最初からうまく段落分けできないし、どうやって分けたらいいかわからない」と思うかもしれません。確かに、最初はうまく行かないでしょう。ですが、何度か練習するうちにコツが掴めてくると思います。 ではコツが掴めるまではどうしたらいいのか? がむしゃらに分けるのが苦痛だ、という方のために、量的なめやすを書いておきます。 小論文の字数はだいたい600字〜1200字程度です。これを考えるに、小論文一本につき、段落の数は3〜5段落が標準であると思っていいでしょう。最大字数に応じて増やしたり減らしたりしてください。ただし、3段落はどうしても必要です。なぜなら、小なりとはいえ論文を書く以上、次の3つのパートが必要になるからです。
構成については、また別な節で詳しく取り上げる予定ですが、とりあえずこの3つは必要であり、したがってどの小論文でも段落を3つ以上は作らなければならないことは覚えておくといいでしょう。 各段落は100字〜300字程度におさめるとよいでしょう。標準は一段落につき200字です。「どうしても100字を超えなければならない」だとか、「決して300字を超えてはならない」ということはありません。必要に応じて加減してください。 これらは量的なめやすに過ぎません。 |
■段落と速読法 |
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段落構成は非常に重要なので、もう一度別な節で取り上げる予定です。 しかし、「段落=話題」であり「段落構成=論の展開の構成」であることを端的に表す例として、ここで「速読法」について触れておきましょう。 論文類における段落の冒頭の一文を、「トピックセンテンス」といいます。その名の通り、「この段落におけるトピック(話題)は何であるか」を示す文章です。優れた論文では、各段落の冒頭にその段落の眼目が何であるかを示す文章をおき、それに続いて例証などが展開されます。つまり、その段落における一番重要な文章は、段落のトップに書かれているわけです。 もっともポピュラーな「速読法」は、一番最初の段落(要旨、梗概など)全文と、その間の各段落の「トピックセンテンス」たち、そして最後の段落(結論)全文を読むというものです。先ほども書いたように、「段落中もっとも重要なことは冒頭の一文に示されている」はずですから、それだけつないで読んでいけば、骨子が掴めるというわけです。 ためしに、英語の試験で出る、長文読解の文章のトピックセンテンスを拾っていってご覧なさい。細かいところはわからなくても、だいたいの流れが掴めるはずです。もちろん、その長文がどんなものであるかによりますが、物語でなく論説の類であれば、試してみる価値はあると思いますよ。 ※ちなみに、今回出した例文は「論文」ではないのでトピックセンテンス式になっていません。悪しからずご了承ください。 |
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2002.7.28
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