2005年3月の定例講座
マヤの神話的世界:ポポル・ウーフを中心に
講師:杓谷茂樹南山大学講師
2005年3月19日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて
民間伝承の中から、フィクションである「ジョーク」や「昔話」を除いた、「神話」、「伝説」、「世間話」をまとめて「神話」として扱い、マヤの人々にとって神話とは何か?という観点から神話の世界を考える講義でした。
前半では『ポポル・ウーフ』(16世紀のもの)、後半ではモパンの「太陽と月の伝説」(20世紀のもの)を取り上げ、それぞれの神話の要素を比較しながら、神話の伝わり方を見ていきました。
マヤの神話は、現実の事象の存在の根拠を示すものであると同時に、世界がどうやって動いているのかを語るもの。つまり、神話を語り継ぐ人々にとっては、実際に起こった出来事であり、マヤの人々の世界観の根本となるものなので、「神話は科学だ!」ということを杓谷先生は強調されています。
『ポポル・ウーフ』は現存する最古のマヤ神話。『ポポル・ヴフ』という名で知られてきましたが、それは、植民地時代のグアテマラで、w の音を表すのに v と表記したのを、後の研究者がそのまま使用していたためで、本来はウーフと呼ぶのが正しいとのこと。邦訳は、林屋永吉氏の訳で中央公論新社から出ています。
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前回の講師、八杉佳穂先生編『マヤ学を学ぶ人のために』世界思想社では、杓谷先生がマヤの神話についての章を書かれています。
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次回4月16日(土)は関雄二 国立民族学博物館助教授による
形成期社会とモチェ社会:権力操作からみた比較
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