2005年5月の定例講座
アンデスの植物
講師:小野幹雄東京都立大学名誉教授
2005年5月21日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて
今回は、いつもの考古学と趣を異にして、アンデスの植生とアンデスに特有な自然現象についての話をうかがいました。
講師の小野先生は元都立大教授で、植物地理学・植物系統学がご専門で、特に孤島の植生に詳しい方です。
前半は、アンデス植生が標高によってどう変化するかを、チリ最北の海岸の町アリカから、内陸へ北東に向かう鉄道で旅をするという形で紹介されました。海岸の降雨がほとんどない砂漠地帯から、標高4千数百mもの高地を通り、鉄道はボリビアの大都市ラパスに到着します。
アンデスは山脈がいくつも連なり、山脈と山脈の間の広大な地帯は、標高が3000〜4000mもある高地草原になっています。イネ科のイチュやキク科の植物が見られるこの地帯は、高地に生活するラクダ科動物の生活圏になっています。
後半は、ペルーからチリにかけての海岸砂漠地帯に突如出現するお花畑「ロマス」についてです。
エクアドルとペルーの沖で、暖流と寒流がぶつかって生じる霧が、内陸に流れて何か物体と衝突すると水になり、それまで土の中で眠っていた種子が発芽して、花を咲かせる現象です。季節は春、9月から12月ですが、毎年できるわけではありません。
プレインカの頃には毎年のようにロマスが生じ、農耕など、生活に密着していたということです。
次回6月18日(土)は加藤泰建 埼玉大学教授による
南高地に開花したティワナク社会
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