古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2005年10月の講師
関雄二国立民族学博物館助教授

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2005年10月の定例講座

アンデス地方王国期の社会
講師:関 雄二国立民族学博物館助教授

2005年10月15日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 今回は、急にご都合が悪くなられた井口欣也先生(埼玉大学助教授)に代わり、関雄二先生が講義されました。

 前半は、シカン文化の編年について、前期(紀元後700〜900年頃)、中期(900〜1100年頃)、後期(1100〜1375年頃)の3つの時期に分けて説明がありました。ペルー考古学者は「ランバイェケ」の名を使うことが多いようですが、島田泉教授(南イリノイ大学)が、それでは表せないというのでシカンと名付けたとのことです。

 伝承によると、シカンは、ランバイェケ地方において、モチェ最後の都パンパ・グランデが焼かれて放棄されたのち、始祖ナインラプ(Naymlap)が多くの従者をともなって筏で現れ、王朝を建てたといわれています。
 最盛期の中期(900〜1000年)には、レチェ川流域のバタン・グランデ地方が政治的、宗教的中心となり、巨大なピラミッド型の神殿や墓が多く築かれました。
 出土品に見る特徴は、黒色の土器やつり上がったコンマ状の目を持つ人物が描かれていることです。さらにシカンは金属精製技術が優れていたことでも有名であり、ナイペと呼ばれるTの字の形をした砒素青銅製品は、"アッチャ・モネーダ(斧の貨幣)"とも呼ばれ、エクアドルやコロンビアなどに輸出され、それらの土地からはウミギク貝、紫水晶、ソーダライトなどがもたらされました。長距離交易が行われていたことは、ロロ神殿の墓の多くの埋葬品からも見てとれます。遺跡の砂の層の痕跡から、中期の隆盛は、やがて大きな洪水に見舞われたことで、その幕を下ろしたと考えられます 。

 後半は、今夏の発掘調査の成果についてのお話でした。ペルー北部パコパンパの遺跡(会報『チャスキ』第31号に、昨年夏の事前調査の概要が書かれています)で始めた試掘などですでに興味深い発見があったようですから、今後の発表を楽しみにいたしましょう。


次回11月19日(土)は坂井正人山形大学助教授による
北海岸に栄えた王国チムー


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