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2005年12月
特別公開講座の講師
中村誠一先生 ホンジュラス国立人類学歴史学研究所研究員
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アンデス文明研究会特別公開講座リポート
マヤ文明世界遺産の調査と保存
― ホンジュラス・コパン遺跡、グアテマラ・ティカル、キリグア遺跡の現状報告 ―
講師:中村誠一先生
ホンジュラス国立人類学歴史学研究所研究員
2005年12月22日(木)
東京外国語大学本郷サテライトにて
マヤ考古学者中村誠一先生に、マヤ文明の世界遺産の調査と保存について、最新の研究成果を交えてお話をうかがいました。
コパン最新調査報告
2000年、道路建設工事にともなう緊急発掘で王墓が発見され、「ござ模様の翡翠製品」や「戦いの神の像」「世界の四分割の中心からトウモロコシの王が再生」などが発掘されました。この王墓は、アクロポリスの16号神殿と聖なる東西軸によって結ばれており、16号神殿の地下神殿ロサリラ(別名太陽の神殿)を造った8代目の王が、先代の王の墓として造ったものと考えられます。
2003年より大広場北の建造物から儀礼の跡をともなう12歳くらいの男子の墓が発掘されました。副葬品として「コンゴウインコを模した翡翠の首飾り」「五色の笛」「貝製の腰飾り」「貝のトランペット」などが、また13代目の王の名前の入った文字入り土器が出土しました。この男子は王家の子供か儀礼を司る貴族の子であったかもしれません。
キリグアは、5世紀前半にコパンの衛星都市として成立しましたが、コパン13代目王ワシャクラフーン・ウバーフ・カウィールは、キリグア王カック・ティリウによってキリグア大広場で斬首されました。この謀反はキリグアの石碑には「13代目王を殺し、カウィールの儀仗を握った」、コパンの神聖文字の階段には「13代目王は名誉の戦死を遂げた」と記されています。
キリグア現状調査報告
キリグアにはマスタープランがなく、記念碑の侵食、表面剥離が進んでいました。また、セメントの道が作られていたり、コパン様式のモザイク石彫が、集められ山積みにされたりしていました。マスタープラン作成、遺物整理、デジタルアーカイブ、モニタリング指導等への協力が必要でしょう。
ティカル現状調査報告
ティカルの石材は石灰岩であり、侵食、溶解が進んでいました。亀裂や屋根の崩落も起きていました。調査用のトンネルが放置され、コウモリ、ヘビ、虫の巣となり遺跡を傷めていました。木による記念碑や建造物の破壊も進んでいました。観光客による悪戯書きなどの被害もありました。
ティカルの修復保存に協力するとともに、2008年頃から、北のアクロポリス、紀元1世紀から7世紀頃までの王家のネクロポリスの調査に着手していきたい、とのことでした。
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