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2006年2月の講師
寺崎秀一郎 早稲田大学助教授
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2006年2月の定例講座
南東マヤ地域における地方センターの成立(予察)
講師:寺崎秀一郎 早稲田大学助教授
2006年2月18日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて
ラ・エントラーダ地域はホンジュラス共和国西部に位置し、コパン遺跡の地方センターとされる遺跡が数多く点在する地域です。今回の講座では、1980〜90年代の青年海外協力隊による考古学プロジェクト以降、同地域で調査を継続なさっている寺崎秀一郎先生から、エル・プエンテ、ロス・イゴス、エル・アブラの3つの遺跡での調査成果と、同地域の地方センターの形成過程やその役割に関して講義頂きました。
エル・プエンテ遺跡では、2003年から最終居住段階の確認のために、中心グループ西端の建造物6の調査を行い、同遺跡初の残存状態の良好なマヤ・アーチの上部構造を検出しました。 先のプロジェクトで調査がなされた建造物1-Subの最終居住段階や、その起源に関する知見を伺いました。1-Subの建築技法や出土遺物はコパン遺跡の神殿10L-26下の「チョルチャ」という建造物と類似点が見られるそうです。また、Sub-1基壇部の炭化物層下から検出された粘土層は土造建造物である可能性も考えられるそうです。同様の結果が得られているラス・ピラス遺跡での炭化物の年代測定結果がコパン王朝成立期に近いことから、これらの地方センターとコパン王朝の関係を改めて見直す必要があるとのことでした。
ロス・イゴス遺跡は、ラ・エントラーダ地域で紋章文字を所有する唯一の遺跡ですが、2004年のプラザGの調査では遺跡の成立年代に関する確かな情報を得ることは出来ず、次回の調査に期待がかかるところです。
エル・アブラ遺跡は、コパン王朝16代目の王ヤシュ・パサフに関連した遺物が発見されており、コパン王朝と深く関連した有力なセンターであったと考えられています。2004年の発掘調査では、プラザKとEの調査を行い、水成層を挟んで古典期中期〜後期と先古典期に相当する資料をそれぞれ検出しました。
この水成層はエル・プエンテ遺跡でも確認されており、両遺跡は河川の流路の変遷により、数百年間の居住期間の断絶の後、地方センターとして成立したのではないか、と先生は述べられていました。エル・プエンテ遺跡やエル・アブラ遺跡では原古典期の資料が欠落しますが、これは隣接するエル・パライソ地域でも同様の知見が得られており、コパン遺跡周縁部における原古典期の様相も気になるところです。
しかしながら、現段階ではデータが不足しており、各地方センターの形成過程やコパン王朝との関係を知るためには、今後の調査の進展が望まれるとのことでした。
次回3月18日(土)は青山和夫茨城大学助教授による
マヤの初期王権の起源と発達
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