古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2006年3月の講師
青山和夫 茨城大学助教授

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2006年3月の定例講座

マヤの初期王権の起源と発達
講師:青山和夫 茨城大学助教授

2006年3月18日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


今回は研究者生活20年の集大成として『古代マヤ石器の都市文明』を著した青山和夫茨城大学助教授のお話をうかがいました。
青山先生はコパンやアグアテカの調査に携わってきたマヤ研究の第一人者の一人。昨年は1年間メキシコのカンペチェ州で調査をしていらっしゃったとのこと、その間のお話をうかがうこともできました。そして青山先生の講義に欠かすことのできない(?!)ホンジュラスご出身の奥様と2人の娘さんのお話。娘さんたちはそれぞれ日本国籍と同時にホンジュラス国籍、アメリカ国籍をお持ちとのこと、世界を飛び回る研究者のご家族の生活の一端をうかがい知ることができました。

マヤの世界では今でも日々新しい発見があり、最近もグアテマラで「マヤ最古の壁画」が発見されたばかり。
ナショナルジオグラフィック日本版
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/topics/n20051213_1.shtml
「マヤ最古」と言われてもそれがどのような意義を持つのか、ニュースだけでは今ひとつよくわかりませんが、青山先生が初期王権につき年代を追って説明してくださったため、その意味するところが理解できてきました。

マヤ文明が最盛期を迎えたという「古典期」は紀元後250年〜900/1000年ごろと歴史的には比較的新しい時代のことですが、実はその前の「先古典期」(紀元前1800年ごろ〜紀元後250年ごろ)の時代から、神殿ピラミッドやマヤ文字など、マヤ文明の基本的な要素は存在していたとのことです。

グアテマラ北部にあるエル・ミラドールは、先古典期の代表的な遺跡の一つ。ここにある「ダンタ・ピラミッド」は「先スペイン期メソアメリカ最大の建造物」で、この遺跡がどれだけ広大なものであったか、いまだ全容が知られていないとか。最古のマヤ文字が刻まれた石碑も、ここで見つかっています。

「最古の壁画」が発見されたサン・バルトロはティカルの南東42キロのところにあります。小さいながら神殿ピラミッドに球技場、貯水池などもある立派な都市。2001年に見つかった紀元前1世紀の壁画は、トウモロコシの神、羽毛の生えた蛇などが描かれ、羽毛の生えた蛇の図像としては、現在のところメソアメリカ最古のものだそうです。

さらに、2005年に同地でさらに古い壁画が発見されました。これこそマヤ文明最古、紀元前3世紀のもので、マヤ文字の碑文も同時に見つかっているとのこと。

「突如として消えた文明」など、いろいろ奇妙なことが言われてきたマヤ文明ですが、ここ数十年の間に劇的にいろいろなことがわかってきて、現実的な社会生活が営まれていた都市というイメージがわいてきました。青山先生のお話をうかがううち、これからの調査によって、さらにその様子が具体的にわかってくるのでは、という期待が持てました。

 青山先生の近著 『古代マヤ石器の都市文明』


次回4月15日(土)は関雄二国立民族学博物館教授による
世界遺産チャビン・デ・ワンタル再考


*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。