古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2006年12月の講師
関雄二 国立民族学博物館教授

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andes@r5.dion.ne.jp

2006年12月の定例講座

アンデスの神殿を掘る ― ペルー北高地パコパンパ遺跡の発掘速報
講師:関雄二 国立民族学博物館教授

2006年12月16日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 パコパンパはペルー北高地、カハマルカ県北部、チョタ郡、海抜2500mに位置する形成期の遺跡であり、その規模はペルー北高地随一ともいえる複合遺跡で、祭祀建造物とその周辺に住居址をかかえたと見られる遺跡。カハマルカから陸路で10時間、チクラーヨから9時間と遺跡へのアクセスは非常に悪いので観光客はほとんど来ないということです。それでも、今回の発掘中にアンデス文明研究会の会員である杉下さんが友人とともに最初の日本人観光客としていらしたのは、大きな喜びでしたとのこと。

 パコパンパ遺跡の研究は、形成期における社会発展の過程を解明することであり、形成期において国家が誕生しなかった諸要素を社会分析によって探ること。これまでのワカロマ遺跡、クントゥル・ワシ遺跡などの調査によって積み重ねられた知識を駆使し、比較検討しながら発掘、解釈を行った。その結果、クントゥル・ワシの建造物の配置や土器の特徴による比較からパコパンパの時期を検証することができた。

 パコパンパ遺跡はサン・マルコス大学と共同調査であり、今年の発掘は3つの地域に分かれて調査をおこない、A区は関雄二先生、B区はサン・マルコス大学フアン・パブロ君、C区はペルー人考古学者のワルテル・トッソ氏が担当。発掘の詳細はチャスキ34号に関雄二先生が執筆されています。神殿は第一、第二、第三プラットフォームの構造。神殿の特徴は、中央に方形半地下式広場があり、大きな階段と正面の壁は石灰岩の切石を積み上げた擁壁である。最上段には四角い窪んだ広場があり、その周りを3つの小さな基壇で囲んだU字型配置となっている。これは典型的な北海岸形成期のタイプであることを示している。今年の目的であった方形半地下式広場の南と北の階段も探しあてることができ、その封印時期も判明。さらに広場全体が埋め尽くされていたということも分かった。

 発掘をする場合、どのような基礎知識に基づいて目的を探しあてていくのか、どこに焦点を当てて仮説を立て立証していくのか、関先生の解説により、考古学者による研究過程の一端を垣間見ることのできた講座でした。


次回2007年1月28日(日)は伊藤伸幸先生(名古屋大学助手)による
オルメカ研究の最前線


*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。