古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2007年4月の定例講座

カハマルカ盆地の一般調査
講師:関雄二 国立民族学博物館教授

2007年4月21日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 セトルメント・パターンに関する調査を実施し、先のデータと付き合わせ、より総合的な形成期社会の分析が可能になりました。

 前期ワカロマ期(前1500〜前1000年)では、遺跡数は少なく基壇状構造物は見あたりません。続く後期ワカロマ期(前1000〜前550年)では、遺跡数が増え、大きな基壇状構造物が築かれました。宗教的経済的条件がその立地を決定したと考えられます。動物文様を描いた壁画や土器の登場は、社会の肥大化とともに、統合のための観念の伝達が不可欠になった事を示しています。EL期(前550〜前250年)の遺跡数は横ばいですが、基壇状構造物は減少します。これは、大集団の社会統合装置としての図像の消失とも合致します。ライソン期(前250〜前50年)では遺跡数が急増し、基壇状構造物が尾根上に集中します。これは海岸へぬける古道沿いにあり、投石用石弾の出土からも、盆地対盆地外の社会的緊張が高まった事を示しています。トウモロコシ酒の醸造が行われた可能性もあり、社会的紐帯を目的とする儀礼が重要視されてきたとも見られます。

 このような社会変化の解釈を地域毎に丹念に行うと、地域毎、時代毎に社会発展のプロセスには多様性がみられ、しかし一方で、互いの社会は相互に関係しあい、全体として見れば、アンデス文明を築き上げていくような実態を示すことになるでしょう。

次回2007年5月19日(土)は加藤泰建先生(埼玉大学教授)による
アンデス文明形成期の展開―クントゥル・ワシ神殿遺跡の研究成果から―


*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。