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アンデス文明研究会特別公開講座リポート
8月のアンデス文明研究会・特別公開講座が下記の要領で開催されました。
グアテマラ南部海岸地域に見るオルメカとマヤ−タカリク・アバフを中心に
講師:高山智博 上智大学名誉教授
2007年8月4日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて
今回の講義内容は、第一部、第二部に分かれています。第一部は、グアテマラの南部海岸にある、オルメカ・マヤ文明の「タカリク・アバフ遺跡」を中心とするお話しで、先生はこの遺跡に非常に興味を持たれ、今年3月、約2週間に亘り調査旅行をされました。第二部では、紀元1962年と38年経った紀元2000年に、マヤ地域の遺跡を調査旅行された時のお話しがありました。
タカリク・アバフ遺跡は、グアテマラの太平洋岸南部にあり、密林に囲まれた、緑豊かな海抜600mの山麓地帯に位置していて、昔からグアテマラ高地と海岸地域、メキシコのチアパス地方、エル・サルバドル等を結ぶ交通の要衝でした。現在はコーヒーの大農園の中にあり、大遺跡でありながら私有地であるため、発掘調査区域が限られているのが誠に残念です。この遺跡は紀元前900年頃から居住され、オコス様式土器が作られていましたが、紀元前800年頃から紀元前400年に掛けてメキシコ湾岸南部のオルメカ文化の影響を受け、ジャガーをモチーフにした石彫、球技場などが造られました。紀元400年頃のオルメカ文化の衰退後、王権と結びついた蛇を信仰するマヤ文化へと移行し、最盛期を迎えましたが、このマヤ文化へのドラスティックな移行は、星座の大熊座の北斗七星が地平線に沈む動きによって決定されたと言う説があります。
この遺跡の特徴は、最盛期に造られた、有名な紀元126年と紀元83年の日付を持つ石碑5号等の数多くのマヤ石彫の他に、バリゴン(太鼓腹)様式と呼ばれる石彫や、ローカル様式?と呼ばれる独自の石彫と共に、前時代のオルメカ様式の石彫も破壊されずに神殿の前に配置されている事で、約2000年の間、多文化が共存した平和な社会でありましたが、紀元900年頃、高地のキチェ族が侵入し、タカリク・アバフ文化は消滅しました。
第二部では、1962年(昭和37年)1月に、パレンケ遺跡の墳墓発見で有名なアルベルト・ルスを団長とする旅行団に参加されたそうで、ティカル遺跡やコパン遺跡の、今はない滑走路に軽飛行機で着陸したそうです。当時、ティカルやコパンの石碑は、今よりも彫りや彩色が鮮明であったようで、ティカルの神殿1にも登られたそうです。恐らくマヤ遺跡のティカル、コパン、キリグア等に行かれたのは、日本人として先生が初めてではないかとの事で、その時代のマヤ遺跡の興味あるお話しが伺えました。
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