古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2008年2月の定例講座

テオティワカンの都市計画と太陽のピラミッド、長さの単位研究と具体化された宗教観と政治構造
講師:杉山 三郎 愛知県立大学教授

2008年2月9日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 先生は1980年代からテオティワカンの「羽毛のある蛇の神殿」の発掘調査を開始され、1989年からは「月のピラミッド」の発掘調査、2007年の夏からは「太陽のピラミッド」の調査をされています。今日の講義では、テオティワカンの都市計画と各神殿の発掘調査の内容についてお話しがありました。

 先生は、1980年代から遺跡の各建築物や建築物間の測量を行い、テオティワカン遺跡の建築測量図を作られましたが、この遺跡の距離単位は83cm(TMU=Teotihuacan Mesurement Unit)であると言う結論に達しました。このTMUを基本にして遺跡の建造物の寸法や「太陽のピラミッド」を中心にした建造物間の距離を計測してみると、これらの距離が大体TMUの倍数になっていることが分かり、しかもその倍数がメソアメリカで使用されていた暦の聖なる数、9、18、20、52、260、360、819等の聖数になっていることが分かりました。

 例えば「死者の大通り」を中心軸にして、北限の「月のピラミッド」から中間線である「サンファン運河」迄の「北区」の距離は2000TMU、「サンファン運河」から南限である流れが改造された「サンロレンソ川」迄の「南区」の距離も2000TMUで対称設計になっており、南区では、「太陽のピラミッド」の中心から北限までの距離と中間線の「サンファン運河」迄の距離はそれぞれ1000TMUになっています。

 これらの聖数は建造物のみではなく、埋葬の形にも表れていて、「羽毛のある蛇の神殿」の内部から発見された戦士の集団生贄埋葬では、137体の埋葬体が発見されましたが、その埋葬体のブロックの並べ方にも2、4、13(9+4)、18、20と言う聖数が使用され、翡翠等の副葬品の数にも13、18、20等の聖数が使われています。

 先生は初めて「月のピラミッド」の発掘調査を行いましたが、この建造物が7回に亘って改築され、最初の小神殿は紀元100年頃に造られ、以後、前の神殿を覆うように改築され、4回目から急に大きくなって6回目の改築で現在の規模になったことが分かりました。昨年からは「太陽のピラミッド」の調査も始められ、地下洞窟の調査をされています。

次回2008年3月15日(土)は青山 和夫 茨城大学教授による
神秘と謎のマヤ文明観の起源


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