古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2009年3月の定例講座

月のピラミッド調査で何がわかったのか
講師:佐藤 悦夫 富山国際大学准教授

2009年3月21日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


 通説では月のピラミッドの調査は1998年から始まりましたが、太陽の神殿やケツァルコアトル神殿のように短期間で一気に造られたものか、その内部に王墓はあるのか、その建築時期などが課題でした。現在判明している処では、月のピラミッドは7期にわたって増改築され、その中には5基の墳墓があることが分かっています。

 C14を含めた検討の結果、第1期〜第3期(A.D.1〜200)の建造物は、一辺が23.5mから31m程度の拡大規模ですが、第4期(A.D200〜250)の建造物になると一辺が突然89mに増築され、墳墓2、6が造られました。この時期に巨大な王権が出現したことが窺えます。従来太陽のピラミッドは「サクァリ期(A.D.1−150」に建造されたとされていますが、先生は第4期の強大な王権の時期に太陽のピラミッドやケツァルコアトル神殿が建てられたのではないかと考えています。第5期(A.D.250〜350)になると、何故か第4期のピラミッドの前面部を壊してアドサダ(突き出し部)が造られ、後面が14.4m追加延長されます。墳墓3も造られました。さらに月の建築物は初めてタルー・タブレロ様式が出現する。第6期では第5期の建造物の上に大規模に増築して、墳墓5が造られ、墳墓5の中から翡翠のペンダントを付けたマヤ人と思われる生贄遺体も発見されました。第7期は小規模な増築であり、この時期に月のピラミッドの一辺は最終150mになりました。

 月のピラミッドでは副葬品の土器が少ないのですが、先生は、土器のデータベース化と建造物の年代決定をするために、月のピラミッドの各内部建造物から出土する土器の年代分析を10年間行いました。その結果、建造物1はパトラチケ期、建造物2〜4はミカオトリ期、建造物5〜7はトラミミロルパ期の建築であることが分かりました。


次回2009年4月18日(土)は関 雄二 国立民族学博物館教授による
チャビン問題再考:最近の研究動向


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