古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2010年5月の定例講座

形成期研究のフロンティア:ペルー極北部
講師:山本 睦先生(日本学術振興会特別研究員・埼玉大学)

2010年5月15日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


ペルー極北部の概要
この地域はペルーの中でも高緯度に位置しており、広大な海岸砂漠や高度の低い山地、多雨多湿な熱帯雨林から成り立っている。中央アンデスと北部アンデスまたは中間領域の狭間というその立地環境は、考古学の視点から文化の接触を研究する上で最適のフィールドと言えるが、その研究はあまり進展していない。

ワンカバンバ川流域の踏査
ワンカバンバ川流域とは、ペルー北部東斜面に位置し、山地から熱帯地域へと流れる川の流域であり、多様な生態環境を持ち、海岸地域と山間地域、熱帯地域を結ぶ重要なルートといえる。基礎データと地域間ルートの把握のために2005年に踏査を行った。調査の結果、129遺跡を登録することができ、そのうち62遺跡が形成期のものである。分布の時期、地域に偏りがみられるようであるほか、採取した土器は周辺地域と類似性が強いということもわかった。

インガタンボ遺跡の発掘調査
踏査により選定したカハマルカ県ハエン郡ポマワカ地区にて2006年と2007年に発掘調査を行った。結果、計5期を確認しワンカバンバ期(B.C.2500-1200)、ポマワカ期(B.C.1200-800)、インガタンボ期(B.C.800-550)である最初の3時期が形成期にあたる。ワンカバンバ期は小規模な基壇建造物の利用や土器の未使用など同時期の北部ペルーとは異なる独自の社会的状況がみられている。次のポマワカ期になると遺跡数が増大し、神殿が大規模化、土器の使用も始まる。また地域間の交流増加が示唆される資料が多数出ている。3時期目のインガタンボ期になると劇的に神殿は大規模化し、階層性が確立したと考えられる。土器による周辺との関係がみられ、奢侈品や搬入品も増えるが、遺跡数は大幅に減少する。

ペルー極北部の地域間交流
今回の研究地域間交流のルートを探すために、GIS(地理情報システム)を利用している。地形の傾斜や標高など条件を加えることによって、一番最適なルートを仮説的に割り出すことができるものだ。徒歩による移動を想定して標高差を加味せず、ルートを割り出すとワンカバンバ川流域を通らない。一方標高差を加味して、ラクダ科動物による移動を想定すると、途端にワンカバンバ川の流域を通るようになる。つまり、徒歩によって地域間交流が行われていた時代はワンカバンバ川流域の需要はなく独自の社会性が存在していたが、ポマワカ期になりラクダ科動物が使われるようになると、途端に川がルートとしての需要を発生するようになり、交易が盛んになったということを表わしていると思われる。しかし、ポマワカ期からインガタンボ期への遺跡数減少の説明をすることはできない。遺跡数が減ることについて権力者による"土器のコントロール"も考えられるが、それについてはルート研究だけでなく従来的な遺物の共通性の研究や理化学的分析が必要になってくると考えられる。


次回2010年6月19日(土)は関 雄二先生(国立民族学博物館教授)による
トウモロコシとジャガイモ:古代アンデス文明における生態資源の利用と権力の発生


*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。