古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2010年10月の定例講座

アンデスの青空市
講師:藤井龍彦先生(国立民族学博物館名誉教授)

2010年10月16日(土)
東京外国語大学本郷サテライトにて


1.歴史

メソアメリカにはスペイン人到来以前から市場があったが、アンデスには殆どない。アンデスでは、トウモロコシやジャガイモのような広範囲で栽培できる多種の作物があり、基本的に自給自足を求めていて市場の必要性は少なかったためと考えられる。

ボリビアには“タンボ”という、物資の集積地が、古くから主要な町にあり、物々交換の最初の形として存在していた。

2.青空市場の実態(ボリビア、ラパス県高地部)

ラパスには至る所に市場があり、大きな市場では、青物、魚等の他、家具、鍋、釜等何でもある。

市場には女性が多い。特に買い手は殆どが女性。また市場で大きな権限を持っているのは、モノを集めて市場で提供する商人であるが、その多くも女性である。

定期市は普通、週に1回。日曜、土曜が多い。

3.青空市の機能

アンデス地方は、自然環境、産物の多様性に富み、また都市と農村の間には、工業製品と農産物の供給の補完関係がある。青空市はこれら多様な補完関係を機能させる役割を果たしている。

ラパス県で、ラパス市を中心に各地に市場が盛んなのは、農産物の流通システムが未発達であることの反映でもある。

市場には、男女、家族連れ等多くの人が集まり、おしゃべりやサーカーの試合も行われる。市場は、人々にとり、情報交換・社交・娯楽の場でもある。特に女性にとって閉鎖的な村社会の日常からの、いわば解放区である。


次回2010年11月20日(土)は井口欣也先生(埼玉大学教授)による
アンデス形成期・近年の研究動向


*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。