古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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2012年1月の定例講座

エル・サルバドル、チャルチュアパ遺跡の調査から
講師:伊藤伸幸先生(名古屋大学助教)

2012年1月28日(土)
東京外国語大学本郷サテライト にて


チャルチュアパ遺跡は、エル・サルバドル共和国にあり、エル・トラピチェ、カサ・ブランカ、タスマル他の地区に分けられる。時期は、エル・トラピチェ地区が先古典期中期、カサ・ブランカ地区が先古典期後期、タスマル地区は古典期から後古典期となる。

カサ・ブランカ地区では、大基壇(240m×220m)が造られ、その上に土製建造物数基が建てられたことが分かった。イロパンゴ火山の噴火で降った火山灰によって、大基壇の下の畑が埋もれたことも分かった。最近のC14年代測定から、噴火は5世紀と考えられる。

タスマル地区では、球戯場の存在とある仮説を確認する為に発掘が始まった。仮説とは、列柱の神殿(西基壇)と北基壇の中心を結んだ線が大体90度で交わることを基にして立てられた。ピラミッド神殿B1-1の東と南にも基壇があり、中央には主神殿があるというものである。

ピラミッド神殿B1-1の南側から蓋付の円筒形土器が出土した。土器に彫られた情景から支配者のような人物が自己犠牲をしている様子が伺える。一緒に見つかった翡翠片52個からメソアメリカの暦の1周期が連想され、前の支配者が次の支配者に権威を委譲する儀式を行ったと考えられる。

主神殿があると推定した部分からは階段が見つかり、埋葬2基が見つかった。また、埋葬の1つは座葬で、主神殿にティオティワカンの建築様式と結び付けることもできる斜壁と張り出し部分がある。

2011年の調査では、埋もれた主神殿を埋めて造られた神殿の階段が見つかった。また、ピラミッド神殿B1-1の北・南側の発掘も行われ、土の建物の後は平石の建物、そして火成岩の建物が建てられたことが分かった。

今後の調査では、主神殿の南端と南基壇、そして、タスマルの建築史を解明する予定である。


次回2012年2月18日(土)は、大越 翼 先生(上智大学教授)による
時の歴史学:植民地時代先住民文書の分析から


*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。