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アンデス文明研究会特別公開講座リポート
7月のアンデス文明研究会・特別公開講座が下記の要領で開催されました。
アンデスにおける供物の歴史と現在:ムユの事例 講師:大平秀一(東海大学教授)
2012年7月21日(土) 東京外国語大学本郷サテライトにて
ムユ(スポンディルス)の生息域は、暖流の影響下にあるエクアドル海岸部と考えられてきました。先住民社会において、その儀礼的意味・使用が現在にまで継承されていることは、周知の通りです。
2001年〜2012年、計3回にわたって、ムユの獲得をめぐる民族誌的調査を実施しました。得られた知見によれば、ムユの生息域は、ペルー北海岸にいたっており、ペルー北部海岸から容易にアクセス可能なゾーンには、ムユが豊富に生息している漁場も認められます。したがって、サランゴやサンタエレナ周辺域を中心としたエクアドル海岸部を「輸出地」と捉えたこれまでの議論は、再考を要することになります。
ムユは生後しばらくして岩礁に固く付着し、その後動くことはなく、エル・ニーニョ現象下で、ペルーでムユが採取されたという見解も否定されます。
アンデス地域の先史文化博物館の多くには、スペイン侵入以前における遠方航海という、いわば壮大なロマンを伴う学説の影響を受け、ムユを扱った展示表象が認められます。その影響もあって、アンデス各地の民芸品店では、ムユを加工した装身具類が多く販売されています。その需要が拡大して、ムユが比較的高額で売買されるため、エクアドル海岸部では乱獲が進み、2009年には無期限の禁漁対象種に指定されることとなりました。しかし、観光客の多いペルーにおける需要に変化はなく、不法採取も一部で認められます。加えて、生きた貝の採取が困難となった現在では、ペルーの仲介人から「コンチャ・デ・ワカス」(遺跡出土の貝)が求められ、エクアドル海岸部の遺跡で盗掘がなされ、出土した大量のムユが売買されるという現象も生じています。
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*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。
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