古代のアンデス文明およびマヤ文明を研究する同好会

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アンデス文明研究会特別公開講座リポート
9月のアンデス文明研究会・特別公開講座が下記の要領で開催されました。

アンデス高地牧畜民の食卓 ――日常食と儀礼食
講師:鳥塚あゆち先生(法政大学)

2013年9月21日(土)
東京外国語大学本郷サテライト


 今回は、クスコ県、チュンビビルカス郡の2つの共同体での調査結果をもとにした、食に関する講座であった。 アルカビクトリア共同体(以下A)は、標高4000〜4900mで、農牧複合(リャマ、アルパカ、ヒツジ、ウシの放牧とジャガイモ、オユコ、オカなどの耕作)を生業とする。ワイリャワイリャ共同体(以下H)は標高4200〜4900mに位置し、専業的に牧畜(リャマ、アルパカ、ヒツジ)を行う。

日常食について
 調理方法をみると、両共同体とも、カルド(スープ)が50%以上の割合で調理され、Aではジャガイモの蒸し茹でがそれに続く。Hでは他に目だった調理方法はない。
 食材としては、Aではチューニョとジャガイモの出現頻度が高く、ニンジン、タマネギ、セロリなど野菜の種類も多かった。肉の割合は、朝食で52.6%、昼食で55.6%、夕食で36.8%であり、ヒツジが一番多く調理されていた。
 Hでは、肉、チューニョ、コメの出現頻度が高い一方で、ジャガイモが食材として料理に入ることは少ない。畑を持たないからである。またイモ類以外の野菜もほとんどない。肉は、朝食で95.2%、昼食で80.0%、夕食で82.5%と極めて出現頻度が高い。ヒツジが最も多く、次いでアルパカの肉が使用された。

儀礼食について
 儀礼では右脇腹を切り、そこから手を入れて心臓を引き抜く方法で屠殺する(普段は首を切る)。調理は塩なしで肉を茹で、それを参加者全員が、頭部、内臓、脳みそ、血、茹で汁も含め、肉の異なる部分を食べる。食べた後の骨は集められて、翌日地面に掘った穴に埋める。

ラクダ科動物の利用について
 最近はクスコなどの都市でも、アルパカの肉を供するレストランが増えてきたが、アルパカは年に一度しか仔を産まないし、都市では肉にするために若いうちに殺されてしまうという問題がある。今後は、それが牧畜民の生活にどう影響していくか見ていきたい。



*受講には申し込みが必要です。詳しくは入会案内をご覧ください。